何が必要?農業法人を設立するまで

農業を法人として行うことで、社会的信用を得たり節税対策を行えたりと、事業継続や事業発展のメリットとなることがあります。法人格を取得した「農業法人」となるためには、どういった流れや手配が必要なのでしょうか。また、農業をビジネスとして始めるためにはどういった準備を行い、どのくらいの資金が必要なのでしょうか。こういった疑問を解決するため、農業法人設立のポイントや農業ビジネス開始に関わる資金についてご紹介します。

脱サラでの農業経営の写真 農業法人設立までの流れを知ろう

農業法人とは、農業を法人形態で営む場合に用いられる名称です。法人化することで、社会的信用を得る、節税対策が可能になるなどのメリットがあり、事業の継続や展開に有利となることがあります。農業法人の設立までのステップをまとめると、(1)事前準備(2)定款の作成(3)役員などの人材配置(4)登記、という流れが代表的です。事前準備としては、用いる品種など具体的な事業内容を決定したり、農業用具などの資産状況をチェックしたり、資本金を確保したりといったことが必要です。また、定款は法人設立のためには必ず求められるものです。法人の目的や商号、所在地などを事前にまとめ、手続きを行うことになります。役員などの人材配置では、代表取締役や役員を決定します。そしてこれらの手配をふまえ、法務局で登記を行うことで法人設立が完了します。このように、農業法人設立にあたっては複数の手続きが求められるため、行うべきことをあらかじめ整理してスケジュールを組むことが大切です。

脱サラでの農業経営の写真 農地を取得したい!農業法人設立の要件とは?

農業法人を設立して農業ビジネスに参入するためには、法人として農地を取得できることが重要になります。法人名義で農地取得を可能にするには、農業法人のなかでも「農業生産法人」としての要件を満たす必要があります。農業生産法人として認められるためには、すでにご紹介した事前準備から登記までの手配にくわえ、以下の要件を満たすための手配をしましょう。
A:法人形態要件
株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、農事組合法人(2号法人)のいずれかを満たすこと。
B:事業要件
農業または農業関連事業の売上高の合計が、全体の半分以上を占めること。ここでいう農業関連事業とは、農業生産物の加工や卸、販売、さらにレストランや農業体験事業など様々な内容を含みます。
C:構成員要件
構成員、すなわち出資者について決められた要件で、下記に代表的なケースを挙げます。
・農地などを提供した個人
・農業または農業関連事業への常時従事者
・ 地方公共団体や農業協同組合など
構成員については詳細な規定があるため、あらかじめ確認するようにしましょう。
D:業務執行役員要件
取締役が以下の要件を満たす必要があります。
・取締役の過半数が、法人の農業または農業関連事業の常時従事者
・取締役の過半数が、原則として年間60日以上の農作業を行うこと
こういった要件を満たすと農業生産法人として認められ、法人としての土地取得が可能になります。

農業ビジネスに必要な金額を知ろう

農業ビジネスを始めるためには、ある程度の規模の資金が必要となります。農業ビジネス参入のために最低限用意すべきものとして、農地、技術、働き手が挙げられます。農地に適した土地の条件としてチェックすべきポイントは、面積や農地価格、日照条件、土壌条件、さらに水利権などです。こういった条件について、希望する水準の土地を探し、権利者と取引を行う必要があります。また、ビジネスとして回すためには、ある程度の技術力も求められます。技術の習得方法としては、農業大学校や就農準備校、民間機関、農家による研修制度などがあります。そして、自分自身が技術を身につけるだけでなく、同じく技術力のある従業員を確保することもポイントです。このように、農地や技術、従業員を確保するために必要な金額は、1,000万円?2,000万円程度が目安となっています。農業ビジネスのスタートには、周囲の農家や専門家による協力が欠かせません。資金の確保とともに、信頼関係の形成にも気を配りながら、ビジネスのスタートを目指しましょう。