新しい農業の形として注目!植物工場の将来性

古くから日本の産業、および食生活を担っている農業。日本の豊かな大地は多くの作物を育て、長年にわたって多くの人の生活を支えてきました。「必要なのは豊かな土と太陽と水」といわれてきた農業ですが、水のみで栽培ができる土も太陽も必要のない新しい栽培法である「植物工場」が注目されています。 植物工場とは一体どのようなものなのか、そして日本の農業の将来を背負う存在になれるのかどうかなど、植物工場について紹介します。

今後の農業について土も太陽も必要ない画期的な栽培法!

今までにない新しい農業の栽培法として注目されているのが「植物工場」です。植物工場とは、以前からあった水耕栽培を大規模な形にした栽培施設です。植物工場は、外部とかけ離れた室内で行う環境保全型の生産システムとして食料の供給、食材の定期的供給を目的に考案されました。LED照明などの人工光、そして水耕栽培のための溶液を使用して野菜を栽培します。その様子は、農業というより工場での作業のようなので植物工場、または野菜工場と呼ばれるようになりました。現在は全国に約300カ所の植物工場があります。 植物工場が注目された要因のひとつが2011年に起きた東日本大震災です。大地震、そして二次的に起きた津波により、多くの人が被害に遭いましたが、農家も例外ではありませんでした。津波の塩水により農業を継続することができなくなったのです。そこで宮城県多賀城市は、土を使用しない植物工場を導入し、日本最大の植物工場を建設しました。今では1日1万株ものレタスが栽培され、全国に出荷されています。

今後の農業について植物工場のメリットとデメリット

植物工場での栽培は、土も太陽の光も利用しないので、さまざまなメリットがあります。土を使った通常の農業は外で行うものですから、天敵なのが天候です。台風や異常気象などが発生すると大打撃を受ける可能性があります。しかし植物工場は土を使わず室内で作業を行うため、天候の心配はいりません。また、農業を行う場合は栄養豊かな土が必須条件であり、広大な土地も必要になります。しかし植物工場は、ある程度の屋内スペースがあれば、どんな場所でもできます。そして土を使った農業よりも短期間で作物を育てることができるのも植物工場の魅力です。さらに農業が抱えている長年の問題である農薬も、植物工場での栽培では必要ありません。クリーンな室内で行う栽培法なので、病原菌も虫も寄り付かないからです。 しかし、生産する際にコストがかかり過ぎるというデメリットがあります。植物工場の技術はだんだんと発達してきていますが、まだ栽培のための費用が通常の農業よりかかっているというのが、植物工場の現状です。

植物工場の今後の課題とは

植物工場の今後の課題は、生産コストを下げて栽培法を農業界に定着させることです。そのためにさまざまなアイデアが出されています。 植物工場の水耕栽培では、栽培される食物に限りがあります。現在、植物工場では、キャベツやレタスなどの葉物野菜が主な生産物になっています。じゃがいもや大根などの根菜類、なすやトマト、果物類は植物工場ではまだ栽培をすることが困難です。今後は葉物野菜以外にも多彩な野菜を栽培することが目標です。また、水耕栽培では栽培がとても難しいとされる米を栽培できるようになれば、植物工場はますます飛躍するといわれています。 そして植物工場には、新しい企業の参入が求められています。通常の土を使った農業ではなく水耕栽培なので、バイオ企業、光化学機械メーカー、建設企業など、さまざまな企業が植物工場に注目し、すでに参入している企業もいくつかあります。これから外部の企業の参入が増えればコストダウンも実現し、今後、ますます植物工場は日本の新しい農業として発展していくでしょう。