日本の農業が抱える問題と将来に向けての改善策

日本の農業は現在多くの問題を抱えています。その最たるものが農業人口の減少です。1965年に1100万人を超えていた農業従事者は2015年にはわずか200万人までその数を減らしています。半世紀の間に5分の1以下になったわけでまさに激減です。その結果、1965年に7割以上あった日本の食料自給率も2014年には4割未満になってしまいました。これでは何らかの理由で海外からの輸入が滞った場合、日本はたちまち食糧難に陥ってしまいます。 さまざまな不安を抱えた日本の農業が今後どう変わっていくのか、また、良い方向に変わっていくにはどのようにすればよいのかについて解説をしていきます。

今後の農業について今後予想される農家の二極化と格差社会

日本の農業人口の減少については当然国も問題視し、補助金や無利子での融資などを行って新規参入希望者の後押しをしています。しかし、参入者の7割は農家で生計を立てられていないという厳しい現実があります。また、昔から農家を営んでいた人たちも後継者不足のために廃業する者が後を絶たない状況です。その結果、多くの農地が耕されなくなり、土地余りの問題が生じています。 そこで、新たな流れとして注目されているのが、大企業の農業参入です。余った土地を利用し、潤沢な資金を背景に大規模農業を展開しようというわけです。そうしたビジネスの形が大きな成功をもたらすかどうかはまだなんとも言えませんが、今後しばらくは農業の二極化が進むのは間違いないでしょう。大企業や組合法人による大規模農業と個人による小規模農業です。しかし、小規模な個人農家では生産効率が悪くて大きく稼ぐことは難しいため、必然的に、大規模農業による勝ち組と小規模農業による負け組の格差社会が到来すると考えられます。少なくとも、従来の方法に胡坐をかき、守りの農業に徹している個人農家が将来的に生き残る可能性は非常に低いでしょう。

今後の農業について個人農家が稼げるかどうかは工夫次第

従来型の小規模農家が儲からないからといって個人農家自体に未来がないのかというと、決してそんなことはありません。従来のやり方がダメなのであれば新しい方法を模索すればよいだけであり、何事もやり方次第です。 例えば、インターネットを利用した個人宅への野菜販売を始めれば、中間マージンを取られずにすむため、それだけ大きな儲けにつながります。お客様の立場に立ってみても安くて新鮮な野菜が自宅まで届くわけですから需要は十分あるでしょう。しかも、品質には問題なくても形のいびつな野菜などは従来の販売ルートでは売り物になりませんでしたが、それも直接販売の強みを活かせば交渉次第で販売が可能になります。また、メールマガジンなどを使って自分で営業を行えるのも大きなメリットです。さらに、プライベートブランドを作って商品の信頼度を高めていくのもひとつの手でしょう。 農業というのは農産物を作って出荷すれば終わりではなく、大切なのはその農産物をどうするかです。それを考えることで新しい可能性が開け、たとえ個人農家であっても稼げる道が見えてくるのではないでしょうか。

後継者問題解消のために必要な農業に対するイメージアップ

農業の将来を考えた場合、個人がそれぞれがんばり、小規模農家でも儲けがでるように工夫を重ねることは確かに大切です。しかし、同時に、農業人口の減少に歯止めをかけ、次世代の担い手を育成するにはどうすればよいかも考えなくてはなりません。 現在の農家の高齢化は深刻で、農業従事者の平均年齢は70歳に近づいています。高齢者と呼ばれる人たちが日本の農業を支えているわけです。その一方で、農家の子供たちは農業の大変さをじかに見て育っているために跡を継ぎたがりません。また、新規参入者にとっては補助金制度などが導入されたとはいえ、最低でも数百万円は必要だといわれる初期投資の費用が大きな壁になっています。 したがって、後継者問題を解消するには何よりこうしたネガティブなイメージを払しょくすることが大切です。国や地方は新規参入希望者に対して支援対策を打ち出すとともに、農業の魅力を最大限アピールする必要があります。同時に、個人農家で成功した人はその情報を発信し、農業に興味がある人の後押しをしてあげることも大切です。なにより、儲からないのでは農業人口が増えるわけがないので、最終的にはいかに成功のビジネスモデルを構築してそれを広げていくかが、大きな鍵となるでしょう。