雑穀食文化

wheat-in-the-hands_21024277雑穀

日本では米をはじめ麦・粟・豆・稗(ひえ)又は黍(きび)の五穀を中心に、食生活に雑穀を取り入れる人が増えてきています。白米に比べて雑穀の高い栄養価に注目が集まり、今、雑穀を見直す人が増えてきているのです。しかし日本の雑穀生産者の数は非常に少なく、国産雑穀は全需要の半分以下にとどまっています。というのも雑穀は手作業が多く、収穫に時間がかかるのです。加えて雑穀を調整する機械が老朽化し、精米業者も高齢化して、雑穀栽培は効率の悪いものになっています。日本における雑穀の栽培面積は、この100年で1,000 分の1 以下までに落ち込んでおります。 雑穀といっても栄養素はそれぞれ異なり、種類によって成分は変わってきます。 例えば稗は食物繊維が精白米の8倍以上あり、ミネラルもバランスよく含まれています。 黍は、稗や粟と並ぶ高い栄養価をもち、精白米と比べて新陳代謝を活発にする亜鉛が2倍、食物繊維やマグネシウム、鉄も3倍近く含まれています。 厚生労働省は1日あたり30品目の摂取を呼びかけていますが、雑穀には現代人が不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれており、雑穀ミックスを白米に混ぜるだけでも栄養バランスを整えることが可能です。 現在、雑穀生産量は岩手県がトップで、国産シェアのほとんどを岩手県が占めています。 中でも花巻地方や二戸地方で栽培がさかんに行われており、「たかきび」については独占です。生産者や農協、行政が一丸となり、日本全国で美味しい雑穀の栽培がもっと盛んになり皆が雑穀を口にする機会が増えれば生活習慣病は減り、雑穀は生活習慣病予防の新たなアプローチとなるでしょう。

人間に適した食べ物

「身土不二」という言葉があります。 これは仏教概念で、「身体とそのおかれている風土は分けることは出来ない」という意味です。日本人であれば、生まれ育った日本の風土や気候で作られた日本食が適しており、その土地で採れる旬のものが一番身体に良いということです。 日本人が古来より主食にしている米類はその代表的なものです。 また、人間は親知らずを含めて上下合わせて32本の歯を持っています。野菜や果物の繊維を切る8本の切歯、肉や魚を噛みちぎる時に必要な4本の犬歯、そして残り20本については穀類やいも類をすりつぶすための臼歯です。歯のバランスから考えてみても、人間に適した食べ物は穀物であることがわかります。 米や雑穀は日本の伝統的な作物であり文化でもあります。 米とともに雑穀栽培を続けることは日本人の健康を守ることであり文化の伝承にもつながることです。日本で雑穀を食べる人が増え需要の兆しが見える今、生産者自身も雑穀栽培と今一度向き合い、雑穀を復活させる道について考えてみる必要があると思います。