野菜作りは土作り!畑の基本を押さえよう

挿絵1上手な野菜作りのためには、土作りが重要です。野菜は地上で光合成を行い、土中で養分を吸います。野菜が嫌う土壌では、農作物はうまく育ちません。野菜が好む良い土壌には、どのような特徴があるのでしょうか。今回は野菜作りに適した土の特徴から畑の耕し方など、良い土を育てるためのノウハウを余すところなく紹介していきます。

野菜作りに適した土の特徴

挿絵2野菜作りに適した土は、一般的に水はけが良く保水性があり、有機物を含んでいます。野菜は土中に根を張りますので、小石などの異物が少なく、土がフカフカと柔らかいことも重要です。異物の多い土の中では、野菜は十分に育つことができず、いびつな形になったり貧弱な野菜になったりします。無農薬の野菜は形が悪いけれど栄養があっておいしいという人がいますが、実は無農薬でも正しく育てた野菜はきれいな形をしています。野菜が変形するのは環境にマイナスな点があるからで、栄養面でも劣ることを覚えておきましょう。良い土の特徴として、土壌の酸度も忘れてはいけません。酸性に傾きがちな土地なら酸性改良資材を投入して、土壌の酸度をコントロールします。ずっと野菜作りをしてきた土地に畑を作るなら、以前は何を育てていたのか確認する必要もあるでしょう。無農薬野菜を育てたい場合、以前農薬を使用していた土地だと、野菜が残留農薬を吸ってしまいますので注意してください。

野菜ごとに最適な土の条件は変わる!

挿絵3野菜作りには欠かせない基本の養分は、チッソ、リン酸、カリウムで、この3種類は肥料の三大要素と呼ばれています。このほか多量要素としてカルシウムとマグネシウム、微量要素としてイオウや鉄、マンガン、亜鉛などが必要です。土壌の酸性度はpH6.0前後が良いとされていますが、野菜の種類によって酸性度には差があります。ジャガイモやサツマイモはpH5.0~pH5.5と酸性に傾いている土壌でよく育ちます。酸性土壌の傾向にある日本では、もっとも育てやすい野菜の部類に入ります。pH6.0~pH6.5の弱酸性を好むのが、カボチャやキュウリ、ナスなどの定番野菜です。トマト、キャベツ、大根、アスパラガスなどはpH6.0~pH7.0、ほうれん草はpH6.5~pH7.0の中性に近い土壌を好みます。弱酸性から中性を好む野菜の場合、カリウムとマグネシウムが含まれている苦土石灰をまいて、土壌を中和してあげましょう。逆に、長いあいだ鶏ふんを使用している土地は土壌がアルカリに傾くため、ピートモスを混ぜて酸性に傾けます。

土壌コントロールに!マルチングとは?

畑の土壌コントロールのためには、マルチングというテクニックを使います。マルチとは畝にかぶせるビニールのことで、昔はワラを使用していました。マルチングのメリットは多く、乾燥や急な温度変化から土を守ってくれます。また、雑草の増殖を防いでくれるほか、泥跳ねによる農作物の病気及び害虫予防にも最適です。マルチにはいくつか種類があり、目的によって使い分けるのがおすすめです。黒マルチは雑草の繁殖を抑えるのに効果的で、急激な地温の上昇を防いでくれます。透明マルチは地温を上昇させたいときに効果的ですが、直射日光が土に降り注ぐので、その分だけ雑草も生えやすいです。マルチングの方法は、畝にマルチを覆い被せて、端を土で固定すればOK。種を直まきしたときの発芽コントロールや、寒さに弱い野菜を育てるときにも使えます。トマトやキュウリ、ナスなどは地温が低いとうまく育ちませんので、ぜひ利用してみてください。

正しい土の耕し方を覚えよう

土を耕したり土壌や畝を作ったりするために、スコップ、鍬、小型シャベル、肥料、苦土石灰、pH測定器などを用意しておきましょう。まず、畑を作る予定の土をスコップで掘り起こしてから、鍬を使って耕していきます。耕す土の深さは20センチ~30センチほどで、表面の土をひっくり返すように鍬を入れてください。鍬で耕したあとは、土の塊をなくすために手で土を砕いていきましょう。次に、土の酸度を調節します。日本の土壌は酸性に傾きがちですので、大体は苦土石灰を使って土壌の酸度を中和します。pH測定器を使って土の酸度を測りながら、苦土石灰の量を調節してみてください。このあと肥料も投入して、再度鍬を使って土と苦土石灰、肥料をまんべんなく混ぜます。土壌作りが終わったら、畝作りです。畝の脇の部分を鍬で掘り、溝を作っていきます。畝は東西に長く作るのが一般的で、平畝なら高さ10センチ、高畝なら30センチ程度です。小型シャベルや支柱ポールなどを利用して、畝の表面を平らにならして完成です。

野菜作りするなら土にこだわりたい!

農業フリークのみなさんに、土作りでこだわっている点について聞いてみました。


基本から応用まで土作りいろいろ!

  1. 植える前には耕して土を柔らかくするし、植える植物によって適した土壌は調べるようにしている。例えば酸性の方が適しているとあれば、ピートモスを加える。(40代/女性/無職)
  2. 種まき前に、苦土石灰を混ぜて土をならすようにしている。(30代/女性/専業主婦)
  3. 連作障害を頭に入れてローテーションしています。(40代/男性/個人事業主・フリーランス)
  4. 土を良く掘り起こし、フカフカに近い状態まで仕上げます。水、肥料、空気が通りやすくしています。(70代/男性/無職)
  5. 農家の方から堆肥を分けていただいて適量土と混ぜる。プロの方は経験が違うので、もし知り合いや友達に農家をやっている人がいるなら教えてもらうのが良い。売っている物よりもその土地にあった堆肥を分けてもらえるので野菜の発育が良い。(20代/男性/無職)
【質問】
家庭菜園や農業で土作りにこだわっていることがあれば教えてください。
【回答結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:219サンプル

知り合いや実家の農家で、土作りのコツを教えてもらうという人も複数いて、多くの人が野菜作りには土が重要であると感じているようでした。おいしい野菜作りのコツは、土作りにあると言えそうです。

まとめ

野菜作りのコツというと農作物に目が行きがちですが、栽培の前段階として土壌作りが欠かせません。野菜や土壌の種類、降水量などを考慮したうえでの土作りは大変奥が深く、だからこそ面白いとも言えます。畑作りの道具はホームセンターや通信販売などでそろえることができますので、興味のある人は始めてみてはいかがでしょうか。

関連記事:野菜作りは基本が大事!土から種までこだわる野菜の上手な作り方