安全だけど栽培は大変!無農薬野菜のメリットとデメリット

挿絵1小さな子どもがいる家庭やアレルギーが出やすい人などは、安全な野菜を食べたいと思う傾向にあります。そのような人々に注目される無農薬で栽培した野菜は、健康的で安心というイメージがあります。しかし、無農薬にはメリットとデメリットの両面があるのをご存知でしょうか?無農薬の野菜を選ぶときは、メリットとデメリットをしっかりと把握して選ぶことが大切です。

無農薬栽培ってどんなイメージがある?

無農薬で栽培した野菜には一般的にどのようなイメージがあるのでしょうか。100名のみなさんにアンケートを取りました。

【質問】
無農薬栽培の野菜について抱いているイメージを具体的に教えてください。
【回答結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:100サンプル

安全だけど手間がかかりそうな無農薬栽培

  1. 非常に手間暇をかけて育てられているのは理解しているつもりだが、合理性に欠ける部分があるようには思える。たとえば自然由来の物質(山葵や唐辛子など)で作られた農薬を使用する等の折衷案が必要ではないだろうか。(20代/男性/学生)
  2. 手間がかかる。そして高い。コスパは良いとは言えないが健康には良さそうだし、味も良いと期待する。(40代/男性/正社員)
  3. 農薬がついていない野菜だから、水で洗わなくても安全に食べられるというイメージです。(30代/女性/パート・アルバイト)
  4. 無農薬だから健康には良さそうだけど、葉の隙間などに虫がいて料理の際に見つけることがあるイメージ。(20代/女性/学生)
  5. 化学肥料を使わないということで、体に優しい野菜というイメージがあります。アレルギーを持っている人なども安心して食べられる印象。(30代/女性/無職 )

農薬を使用しないことで安全性は担保できますが、その分だけ手間がかかるので値段も高くなるという印象があるようです。みなさん消費者の立場として、無農薬の野菜に対してメリットとデメリットをそれぞれで感じているようですね。

無農薬野菜のメリット1.味がしっかりしている

挿絵2無農薬で育てた野菜は農薬や肥料の助けが最小限であるため、自分の力で成長しようとします。たとえばトマトは、乾燥した土地で水を最小限に抑えて栽培すると、地中のわずかな水分を得るために力強く根を伸ばし、丈夫になるために養分をしっかり蓄えようとします。甘やかされず育ったトマトは、甘みが強く味が濃くなります。野菜の種類によって特性が違いますので、すべての野菜に乾燥している土地のほうが良いというわけではありません。ただ、野菜の特性とマッチした土壌で育てることができれば、農薬を使わなくてもきちんと育ちますし、しっかりとした味わいになります。味がしっかりしている野菜は見た目も美しく、まっすぐな野菜はまっすぐに、丸みを帯びる野菜はまるまると育ちます。もし無農薬栽培の野菜を購入するなら、色が濃くて形がきれいな野菜を選ぶと良いでしょう。

無農薬野菜のメリット2.安全面で信頼されやすい

挿絵3無農薬の野菜は、安全面で消費者からの信頼を得やすいというメリットもあります。しかし、無農薬というと完全に農薬を使っていないと思っている人も多く、健康を害する心配がない野菜と取られています。実際はまったくの無農薬ということは少なく、法律で決められた最低限の農薬や肥料は使用されています。それでも、通常栽培の野菜より農薬や肥料の量はかなり減るので、安全面で安心であることに変わりはありません。他にも、直売所を始め、スーパーやレストラン、ファストフードに至るまで、生産者の名前と顔を表示することが多く見られます。生産者の顔が見える野菜は安全に作られているという安心感があり、消費者にアピールするためにさまざまな店舗で実施されています。それだけ、安全な野菜に対する関心が高まっていると言えるでしょう。また、子どもは苦みやエグミを強く感じやすく、野菜嫌いになるケースがあります。無農薬で育てた旨みや甘みの強い野菜なら、嫌いな野菜も食べられるようになるかもしれません。

無農薬野菜のデメリット1.値段が高い

通常、農家の野菜は農協に買い取ってもらって、さまざまな店舗に卸されます。無農薬の野菜は時間や技術を費やすにもかかわらず、農協の卸価格は通常栽培の野菜とあまり差がありません。せっかく労力をかけて野菜を育てても、それでは割に合わなくなってしまいます。そこで、無農薬にこだわる農家は直販で野菜を売ろうとします。当然、手間がかかっている野菜ですから値段は高いです。無農薬で作られた野菜の値段を高いと感じるのは、農協経由で売られている野菜に比べて値段が高くなりやすいからです。普通に考えれば、手間がかかっている分だけ値段が上がるのは当たり前のことです。しかし、少しでも節約したい消費者からすれば、無農薬は高価で買いにくいと感じてしまうようです。

無農薬野菜のデメリット2.野菜が不揃いになりがち

無農薬の野菜は形が不ぞろいになりやすいのがデメリットです。便利な農薬や化学肥料に頼ることができませんので、その分だけ土壌の管理や生育過程のチェックなどをきめ細かく行う必要があります。しかし、何らかの理由で野菜が栄養不足になると、大根が二股になったり、キュウリの緑が薄くなったり、大きく育たなかったりして、見た目も味も良い野菜にはなりません。最低限の肥料で育った特別栽培農産物や有機野菜が美しいのは、栄養が行き届いていて健康に育っているからです。無農薬は農薬や化学肥料の助けを得られない分だけ、技術と手間をかけなければなりません。無農薬栽培で野菜の栄養不足を防ぐには、いかに除草対策をするかが大事です。雑草が生えていると、本来野菜が吸収するはずの養分が雑草に奪われてしまいますので、耕運機で雑草を除去したり防虫ネットをかけたりするなどの対策を取ることが重要です。

まとめ

無農薬の野菜は値段が高く、見た目も味も良い野菜を育てるにはそれなりの経験と技術が必要です。そのため、農家によっては、虫食いがあったり形がいびつだったりする野菜を販売していることもあります。しかし、長い年月をかけて、ていねいに栽培された無農薬農家の野菜は、大きく立派で栄養も満点です。手間暇をかけて作られたおいしい野菜を食べたい人は、信頼できる農家を見つけて購入するのはもちろん、自身で栽培にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
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