日本農業とオランダ農業

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オランダはアメリカに次いで世界第二位の食料輸出国です。 日本の九州ほどの大きさです。 そして、面積当たりの収穫量は非常に高く、例えば1,000㎡あたりのトマトの収穫量は 日本がおよそ20トンに対しオランダでは70トンと日本の3.5倍にのぼります。 オランダは農地を大規模化することで熱やCO2を有効利用し、 栽培品目を抑え集中した品目の大量生産を行っています。 こうした栽培の集約により、研究開発や栽培、輸送や販売など 農業にかかる全てのコストを抑えています。 日本では人口減少に伴い日本市場の縮小を見越して、新たに海外市場へ目を向けようと考える人たちがおり、日本の農業もオランダのように輸出志向に変えていこうという声もあがっています。 まず輸出栽培品目は、国土の広い国は広さを生かし穀物栽培を中心に行っていますが薄利多売です。しかしオランダや日本のような狭い国では、消費量が少なく単価の高い野菜や果物に品目を絞り勝負することになります。そういった野菜や果物は鮮度が命で、輸出先との距離や輸送手段が非常に重要になります。オランダが輸出を盛んに行える背景として、大陸のため陸続きで輸出が出来ることにあると思います。さらにオランダは平坦な地形が味方して、空港や海港へのアクセスも便利です。 またフランスやドイツといった国民所得の高い隣国に囲まれており、立地にも恵まれています。他にも北海油田で採掘される安価な天然ガスに支えられており、オランダ農業の大きな強みとなっています。

日本とオランダ

一方、日本ではたくさんの種類の野菜や果物、そして穀物を栽培しています。 日本もオランダと同じように栽培品目を数種類にしぼり栽培して輸出を行い、残りの作物を海外から輸入して賄おうとした場合、それはあまり現実的ではありません。日本の輸出先は主にアジアの国々になりますが、距離や輸送手段を考えるとあまりいい条件とは言えません。そもそもアジアの所得は低く、高価な日本の農産物を気軽に買ってもらえず、結局富裕層だけがターゲットになります。 さらに近隣諸国とは領土問題など抱えており輸出の期待は出来ず、 日本はさらに電気・ガス・石油の価格が上がれば、農家の光熱費の負担もそれだけ重くなってしまいます。 日本とオランダでは社会環境が異なるのでオランダの農業のやり方を日本の農業にそのまま取り込むことには限界があります。日本はオランダの素晴らしい農業技術をしっかり取り入れた上で、日本独自のブランドやスタイルを確立してオランダとは違った農業で生き残る道を考えなくてはなりません。 日本はそれぞれの作物の味や風土の違いを活かして多種の栽培を行っております。 農業問題が複雑化している今だからこそ日本の農業の基本に立ち返ることは大切です。自然で安全な物を作ることに注力し、画一化された農業ではない消費者自らの目が届くような小規模農業は、古くて新しい農業の形になるかもしれません。