食の安全から考える日本の農業②

veg131-s残留農薬

残留農薬をしっかり洗って除去する。 それは正しいことですが、根本的には間違っていると思います。 植物同士で相性がよく生育にもいい影響を与え、害虫をよせつけないコンパニオンプランツというものがあります。例えばトマトにバジル、ラディッシュにネギといった組み合わせがあります。農薬を使わないようにそういったコンパニオンプランツをもっと研究して利用してみるのはどうでしょうか。天然土壌改良材として有機物を餌とするミミズのフンをもっと活用してみたり、てんとう虫を利用して害虫駆除をしてみるのはいかがでしょうか。農家は見た目もキレイな無農薬農産物を作れるように、本当に人に喜んで食べてもらえるものを作れるように、そういった手間のかかる小さな努力を続けていく必要があると思います。 そして何より私たち消費者の食の安全に対する意識も変えていかなければなりません。 私たちが日々口にしている食物は私たちの体を作る大切なものです。 もっと農薬や化学肥料の恐さを認識する必要があります。 食物を選ぶ基準を変えていく必要があります。

虫に食われている野菜とキレイな野菜

さいごに、虫に食われている野菜とキレイな野菜がある場合、 私たちは虫に食われている野菜は無農薬野菜で、キレイな野菜は農薬を使った野菜だと思います。しかし必ずしも虫に食われている野菜が無農薬とは限りませんし、きれいな野菜が農薬を使った野菜とも限りません。苗の時にきちんと植え替えをして環境がよく育ったために虫がつかなかったということも考えられます。また農薬を使ったのに虫がついてしまったのは育てる時期が悪かったということもあります。 さらに無農薬野菜であっても年中出回っている収穫適期以外のものは味が薄かったりします。ある大学教授の実験データでは、ほうれん草100gに含まれるビタミンCの含有量が旬の時期では70~80mgであるのに、それ以外の時期では10mgにまで減っているという結果が出たそうです。 私たち消費者は良くも悪くも農作物の見た目に左右され、虫の食ったものよりキレイな農作物を選んでみたり、虫の食ったものは逆に安全だと判断します。しかしそれぞれの農産物の旬を知り、産地や育て方を知り、見た目ではなく本質を見ることが大切です。今後もっと無農薬・有機栽培表示の農産物が増え、私たちも見た目ではなく安全性を一番の基準に選び、旬や産地を意識するように変わり行動していけば、日本の農業スタイルもさらに変わっていくように思います。