新規就農者へ贈る!農業を始める前に知っておきたい知識集

挿絵1農業をやろうと思う動機は人それぞれ。職業も年齢もさまざまな人たちが毎年就農を目指しています。しかし、農業は始めようと思ってもすぐにできる仕事ではありません。農業の専門技能を身につけることはもちろん、農地探しや資金集めなど、越えなければならないハードルがたくさんあります。そこで今回は、農業を始める前に押さえておきたいポイントを解説していきます。就農するなら必ず知っておくべきポイントばかりですので、ぜひ頭に入れておきましょう。

初期費用に当面の生活費… 農業を始める際の資金額はいくら?

挿絵2農業を始めるのに必要な資金額を考える前に、まずは就農準備のために初期費用がいくらかかるのかを考えていきましょう。新規就農するには農機具や農作業のための施設が必要です。雑草を刈るための草刈り機や農作物を運ぶための軽トラ、トラクタなどは最低限購入しておきたい農業機械。農作物によっては稲刈り機やビニールハウスも必要ですし、何より農地がなければ農業を始めることもできません。種苗や肥料、農薬などは就農後も定期的に購入していく物です。これらの経費を考えると、新規就農のために用意しておきたい初期費用としては500万円前後といったところでしょう。ただ、農作物によってかかる運用費用にはだいぶ差があります。ビニールハウスで農作物を育てる施設野菜の場合は運用費用が高くなる傾向にあり、稲作や果樹は全農作物平均よりも安くなる傾向にあります。また、就農後数年の間は売上が思うように上がらないことが予想されるため、当面の生活費も用意しておきたいところです。経営を軌道に乗せるまでには大体3年近くかかるといわれているので、必要経費以外にも2年から3年分くらいの生活費を用意しておくのがおすすめです。
詳しくは、始める前に知っておきたい!農業の準備資金はいくら必要?」をご参照ください。

自己資金が足りなくても可能?農業を始めるための補助金制度

挿絵3新しく農業を始める人たちのために、さまざまな補助金制度があります。よく知られているのは農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)と呼ばれる国の補助金制度です。若い世代の新規就農者のなかには、高校を卒業したばかりで十分な額の資金を用意できない場合があります。そんな若い世代を応援するために、農業次世代人材投資資金では準備型資金として年間150万円を、農業研修期間中、最長で2年間交付してくれます。研修終了後は経営開始型資金として、年間150万円の補助金を最長5年間交付してくれます。また、農業法人に新規で就職する場合は「法人側に対する農の雇用事業」として年間120万円を最長2年間、雇用者が法人独立を目指す場合は、研修費用として年間最大120万円を最長で4年間助成してくれます。これらの補助金にはそれぞれ応募要項があり、45歳未満であること、必ず就農することが必須の共通項です。新規就農を目指したいけれど資金がない人にとってはぜひ利用したい補助金制度。しかし、研修中に適切な技能を習得できなかった、補助金の交付期間より長く営農できなかったなど、応募要項を満たすことができない場合は補助金の返還義務が生じます。そのような事態に陥らないためにも、農業を始める際はしっかりと計画を立てるようにしましょう。
詳しくは、農業を始めるなら利用したい補助金制度とは?をご参照ください。

農業を始めるなら土地が必要!農地の取得方法とは?

挿絵4農地とは農業を行うための土地のことで、土地の売買や貸借に関しては農地法でさまざまな決まりごとがあります。農業を始めるのであれば、農地法に関してしっかりと理解しておくことが大切です。土地の売買や貸借は、農地法第3条、もしくは農業経営基盤強化促進法に則って契約を交わします。これを無視して勝手にやり取りをしても無効となります。農地法第3条での農地取得方法は、農地取得のための申請書を自治体の農業委員会に提出し、許可指令書を交付してもらいます。土地を貸借する場合は、農業経営基盤強化促進法の利用権設定促進事業で貸し借りすることも可能です。いずれにしても、農地を購入または借りる場合は、確実に就農し、営農していけることが農地取得の条件です。何を栽培してどのように販売していくのか、その農作物を育てるにはどの地域が適しているのかなど、農業を始める前にきちんと考えておきましょう。また、就農したい地域が決まっても、農地の空きがなければ土地を取得することはできません。農地と自宅が離れすぎていると貸してくれないケースも多いです。もし農地が見つからない場合は、農家と農地取得希望者を結ぶ存在である、農業公社を活用するのがおすすめです。
詳しくは、普通の土地とはちょっと違う?農業を始めるための土地取得法をご参照ください。

若いほうがいい?農業を始めるのに年齢って関係ある?

一般的に物事を始めるなら早いほうが良いといいますが、農業を始めるなら何歳くらいまでが良いのでしょうか?20代や30代など若い年齢の場合、体力がある、考え方が柔軟などのメリットがあります。逆に人生経験の少なさから、先輩農家や地域の人たちとうまくコミュニケーションを取ることができなかったり、就農する際に必要な初期費用を集めることができなかったりなどのデメリットもあります。40代や50代など中年期以降の年齢から始める場合は、豊富な社会人経験を活かして上手にコミュニケーションを取ることができる、就農にかかる資金集めに時間をかけることができるなどのメリットがある反面、若い世代と比べて体力がない、これまでの人生経験で自分なりの哲学が固まっている人は新しい知識を吸収するのに苦労しやすいなどのデメリットがあります。新規就農をする最適な年齢は一概に決めることはできず、その人の考え方によって変わってきます。たとえば、若い世代であっても親からの援助が期待できれば資金面はクリアできますし、中年期以降の人でも柔軟な考え方ができる人であれば、新しい知識を吸収しながらこれまでの経験を活かすことができます。農業開始年齢によるメリット・デメリットには個人差があるということを頭に入れておきましょう。
詳しくは、若いほうがいい?農業を始める最適な年齢とは?をご参照ください。

あったら便利!農業を始めるなら取得しておきたい資格

就農すると頻繁に軽トラやトラクタを運転することになりますので、農業を始めるなら普通自動車免許と大型特殊自動車免許は必須の資格といっても良いでしょう。トラクタやコンバインなどは自動車免許がなくても操作は可能です。ただ、公道を走る際に、大型の機械の場合は大型特殊自動車免許が必要になります。小型の場合は小型特殊自動車免許でも大丈夫ですが、普通自動車免許があれば運転可能なので特別に取得する必要はありません。また、必須の資格ではありませんが、農業機械士を持っていると、農作業中に農業機械が故障したときに自分でメンテナンスができるので便利です。農業機械士になるには大型特殊自動車免許を取得していることが必須で、指導農業機械士になるなら、けん引免許が必要です。農業機械士の研修中に特殊自動車免許の勉強もできますが、すべて自動車教習所で取得可能ですので、農業を始める際に必要な自動車免許はすべて取得しておくと良いでしょう。また、営農を成功させるならぜひ取得しておきたいのが、農業簿記検定です。2014年にできた歴史の浅い検定資格ですが、一般の会計知識から農業に特化した専門知識まで網羅できます。農業法人に就職する以外の就農者はいわば自営業です。農家として生き残っていくためには農業に関する確実な技能が必要ですが、経営者としての手腕も問われるということを覚えておきたいところです。
詳しくは、あると役立つ!農業を始めるなら取っておきたい資格まとめをご参照ください。

農業を始める前の情報収集はどこですればいい?

いざ農業を始めようと思っても何から始めたら良いのかわからないもの。そこで、就農に関する情報収集をどのように行ったのか、農業経験者100名にアンケートを取ってみました。

生きた情報収集は経験者に聞くのが一番!

  1. 親戚で農業をしている人がいるので、住み込みで手伝いをして、ノウハウを教えてもらいました。(40代/正社員/男性)
  2. 実家の父から一から教えてもらいました。実際に畑にいって、収穫した野菜をたべました。土や肥料も手で触れて覚えました。やはり経験のある人に教えてもらうのが一番だと思います。(50代/個人事業主・フリーランス/女性)
  3. 種や農薬の会社がお店で配布している小冊子や種・農薬などのパッケージにかかれている各種注意事項を参考に農業を始めた。(40代/正社員/男性)
  4. 地元のJAで資料をもらったり、近所の農家さんにコツを聞いたりします。(30代/パート・アルバイト/女性)
  5. ネットで情報収集をした。種の種類、まく時期、土の手入れ、冬の畑の維持方法など、いろんなことを教えてもらった。(30代/個人事業主・フリーランス/女性)
【質問】
農業を始める前に必要な情報をどこで知りましたか?
【回答結果】

フリー回答

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年08月02日~2017年08月09日
有効回答数:83サンプル

家族に就農者がいない人でも農業や自治体で情報収集をしているようです。インターネットでさまざまな知識を覚える人もいるようですね。教科書的な知識に関してはインターネットや書籍などで、豊富な経験からくる生きた知識は先輩農家から教えてもらうと情報の偏りがなく効率的に情報収集できそうですね。

まとめ

農業の専門知識はもちろんのこと、農地に関する法律や経営の知識など、農業を始めるにはさまざまなことを勉強しなければなりません。地域の人たちと良好な関係を築いていくためのコミュニケーション能力、農作物の様子や異変にすばやく気付ける観察力なども必要です。知識を貪欲に吸収していく意欲と柔軟な思考で、就農を目指す姿勢が大切。農家として成功していくために、農業を始める前にしっかりと準備していきましょう。